「カフェを開業したいけれど、何から始めればいいのか分からない。」
私も最初はそうでした。
以前は薬剤師として働いていて、飲食店で働いた経験はありませんでした。
それでも2023年6月27日に個人カフェを開業し、現在まで約3年間営業を続けています。
開業準備というと、「これが終わったら次」と順番に進めるイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、物件探し、融資、メニュー作り、設備選びなどを同時に進める場面が多く、一つ終わってから次へ進むというより、いくつもの準備を並行して進めていました。
この記事では、私が飲食未経験から個人カフェを開業するまでに実際に行ったことを、大まかな時系列で紹介します。
詳しい内容は、それぞれ関連記事でも紹介していますので、気になる部分があればあわせて読んでみてください。
1. どんなカフェにするか考える
最初に考えたのは、「どんなカフェにしたいか」でした。
私は最初からワンオペで営業することを前提に考えていました。
人を雇うより、一人で働きたいという気持ちが強かったからです。
メニューは、自分が得意だった焼き菓子を中心に考えました。
一方、自家焙煎については最初から決めていたわけではありません。
焙煎機は高額な設備なので、創業融資の結果次第で導入するか判断する予定でした。
もし希望額の融資を受けられれば導入し、難しければ後から考えようと思っていました。
結果的に希望額の融資を受けられたため、開業時から焙煎機を導入しています。
営業時間は少し長めに設定し、営業しながら朝か夜のどちらかを短縮するつもりでした。
ところが実際には朝と夜の時間帯にもお客様が来店したため、現在もその営業時間を続けています。
席数についても、最初から「何席にしよう」と決めたわけではありません。
契約する物件の広さである程度決まりますし、広い物件ほど家賃や内装工事費も高くなります。
私はワンオペで営業することを前提に、無理なく営業できる規模を意識して物件を探しました。
提供する商品にもよりますが、ワンオペの個人店では10席前後のお店は比較的多い印象です。
大切なのは理想だけを考えるのではなく、自分が続けられる具体的な営業スタイルを最初に考えておくことだと思います。
2. 飲食未経験だったので開業スクールに通う
私は飲食店で働いた経験がなかったため、カフェ開業スクールに通いました。
一番の理由は、できるだけ早く開業したかったからです。
当時は「スクールを卒業したら、そのまま開業したい」と考えていました。
薬剤師をできるだけ早く辞めて、一人で働く生活を始めたかったからです。
スクールでは開業までの流れだけでなく、創業計画書も作成しました。
卒業する頃には、日本政策金融公庫へ提出できる状態まで仕上げるカリキュラムになっていたため、そのまま融資申請に活用できました。
また、食品衛生責任者だけでなく、バリスタ資格も取得しました。
バリスタ資格は開業に必須ではありません。
ただ、融資面談では「趣味で何となく始めたい」のではなく、本気で開業を目指して準備してきたことが伝わったようです。
資格そのものよりも、実際に行動して準備を進めてきたことが評価につながったのだと思います。
もちろん、それだけで融資が決まるわけではありません。
それでも、現在もスクールで学んだ抽出技術やラテアートなどは営業で役立っていますし、開業までの流れを短期間で理解できたことを考えても、私にとっては通って良かったと思えるスクールでした。
3. スクールに通いながら物件を探す
スクールを卒業したら、できるだけ早く開業したいと考えていました。
そのため、卒業してから物件を探し始めるのではなく、スクールに通っている間から探し始めました。
最初は自分で物件を探していましたが、その後はスクールで紹介してもらった不動産会社にも相談しました。
飲食店向けの物件に詳しい担当者だったため、自分では見つけられなかった物件も紹介してもらえました。
最終的には20件近く内見しています。
物件探しでは、立地や家賃だけでなく、広さや設備、営業できる業種なども確認する必要があります。
また、物件の広さによって席数もある程度決まります。
広い物件なら席数を増やせますが、その分、家賃や内装工事費も高くなります。
私はワンオペで営業することを前提に考えていたため、無理なく営業できる規模を意識しました。
物件探しについては、20件近く内見した経験を別の記事で詳しく紹介しています。
4. 開業資金を計算して融資を準備する
物件の候補が決まったら、融資の準備も本格的に進めました。
日本政策金融公庫へ融資を申し込むには、「どこで開業するのか」という物件の情報も必要になります。
そのため、創業計画書や資金計画は物件が決まる前からある程度作成しておき、物件を仮押さえした段階で融資申請を行いました。
大家さんも長く待ってくれるわけではありません。
融資を受けて開業する場合は、できるだけ短期間で審査を進める必要があります。
私は日本政策金融公庫へ1000万円の創業融資を申し込みました。
ただ、1000万円という希望額は比較的大きかったため、スクールでは「飲食経験が全くないと審査で不利になる可能性がある」と聞いていました。
そこで、物件が決まるまでの約半年間、カフェでアルバイトをしています。
融資のためだけではありませんが、実際の営業を経験できたことは、開業後にも役立ちました。
融資では、「いくら借りられるか」だけではなく、「無理なく返済できる計画になっているか」が大切です。
私も創業計画書は現実的な数字で作成し、返済計画まで含めて準備しました。
創業融資については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ 飲食未経験でも日本政策金融公庫で1000万円の創業融資を受けた話
5. 物件契約後は内装と設備を準備する
物件が決まると、内装工事や設備の準備が本格的に始まります。
私は開業した経験がなかったので、この部分は設計士の方にかなり助けてもらいました。
エスプレッソマシンや焙煎機は自分で調べて選びましたが、冷蔵庫や製氷機などの厨房機器は、お店の規模や営業スタイルに合ったものを提案してもらっています。
内装も「こんなお店にしたい」というイメージを伝え、それを形にしてもらい、気になる部分があれば修正していく流れでした。
一方で、照明やインテリア、小物などは自分で選びました。
開業経験がないのであれば、無理にすべて自分で決めようとせず、経験のある設計士や業者に相談しながら進める方が安心だと思います。
必要な設備は、どんなメニューを提供するかによって変わります。まずは、お店の方向性を決めておくことが大切です。
私が実際に準備した設備や備品については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ 個人カフェ開業に必要なもの一覧|約3年間使い続けている設備と費用を公開
営業してから「最初はいらなかった」と感じたものもあったので、こちらの記事にまとめています。
▶ カフェ開業で不要だったもの9選|実際に営業して分かった「なくても困らなかったこと」
6. 必要な資格・許可を準備する
私は開業前に食品衛生責任者の資格を取得し、飲食店営業許可を受けました。
菓子製造業許可については、営業を始めた後に取得しています。
営業内容によって必要な許可は異なります。
また、保健所の施設基準は地域によって違う場合があります。
基準を満たしていないと内装工事をやり直さなければならないこともあるため、開業前に管轄の保健所へ確認するか、飲食店の施工に慣れた設計士や業者へ相談しながら進めることをおすすめします。
必要な資格や許可については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶ カフェ開業に必要な資格はある?ワンオペ店主が実体験で解説
7. メニューと価格を決める
メニュー作りも開業準備の大切な仕事です。
私は焼き菓子を中心に、ワンオペで営業できる内容を考えました。
メニューは多ければいいというものではありません。
増やしすぎると仕込みや在庫管理が大変になりますし、お客様も選ぶことに疲れてしまいます。
価格を決めるときも、原価だけではなく、仕込み時間や廃棄まで考える必要があります。
営業を始めてからは、お客様の反応を見ながら人気商品の追加や入れ替えを繰り返し、現在のメニューになっています。
メニューについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ カフェのメニューは何種類必要?ワンオペ店主が考えるメニュー構成
8. 営業に必要な契約や経理の準備をする
開業前には、営業に必要な契約も進めました。
私はUSENでPOSレジ、キャッシュレス決済、店内BGM、Wi-Fiをまとめて契約しています。
会計ソフトにはマネーフォワード クラウドを選びました。
また、この頃には事業用の銀行口座も作っておくことをおすすめします。
プライベートのお金と事業のお金を分けておかないと、その後の経理がかなり大変になります。
私は開業を考え始めた頃に簿記3級を取得しました。
会計が苦手な人ほど、開業前から勉強しておくことをおすすめします。
実際に経理を始めると分からないことはたくさんありますが、基礎知識があるだけでも理解しやすくなります。
会計ソフトは開業後に導入しても問題ありません。
ただし、開業費だけは最初から整理しておいた方が後でかなり楽になります。
実際に約3年間使っている感想は、それぞれこちらの記事で紹介しています。
▶ カフェ開業におすすめのPOSレジは?USENを約3年間使った正直レビュー
▶ マネーフォワード クラウドを約3年間使った正直レビュー|個人カフェ店主が感じたメリット・デメリット
9. 仕入れ先と消耗品を準備する
営業を始めるには、コーヒー豆や牛乳、食材だけでなく、テイクアウト容器や洗剤なども必要になります。
私は紹介で製菓材料と乳製品の卸業者を契約しました。
小規模事業者の場合、新規では契約が難しいこともありますが、紹介だったこともありスムーズに契約できました。
仕入れ先についても、営業を続けながら自分のお店に合うところを見つけていくことになります。
10. プレオープンで営業の流れを確認する
私は開業前に約1週間のプレオープン期間を設けました。
プレオープンといっても、知り合いだけを招待したわけではありません。
通常営業と同じように営業し、実際のお客様に来店していただきました。
「プレオープン」と伝えていることで、お客様も「まだ慣れていない時期なんだな」と理解してくださることが多く、率直な感想や意見もいただきやすくなります。
また、プレオープンとグランドオープンの2回告知できるため、お店を知ってもらうきっかけが増えるというメリットもありました。
いただいた意見は、その後のお店作りにも役立っています。
なお、開業直後の3日間だけは知り合いに手伝ってもらい、その後はワンオペで営業しています。
11. 2023年6月27日に開業
2023年6月27日にカフェをオープンしました。
もちろん、最初から思い通りに営業できたわけではありません。
営業して初めて気付くことも多く、その都度改善を繰り返してきました。
開業初日の様子については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
12. 開業後も調整は続く
開業はゴールではなく、ここからが本当のスタートです。
営業を始めてからも、メニュー、オペレーション、店内レイアウト、価格など、少しずつ調整を続けています。
例えば、最初はお客様に商品を取りに来てもらうスタイルでした。
しかし、想像していた以上に高齢のお客様が多かったため、現在は私が席まで商品をお持ちしています。
また、高いカウンター席を取り外し、低いテーブル席へ変更しました。
メニューも、お客様の反応を見ながら追加や入れ替えを続けています。
約3年間営業して感じるのは、開業後に改善することの方が多いということです。
その積み重ねで、少しずつ今のお店になっていきました。
カフェ経営については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
▶ 個人カフェ経営は厳しい?約3年間続けて分かった現実と続けるコツ
まとめ
カフェ開業は、一つずつ順番に終わらせるというより、物件探し、融資、設備選び、メニュー作りなどを並行して進めることが多いです。
私も飲食未経験からのスタートでしたが、一つずつ準備を進めて開業することができました。
特に物件が決まってからは、契約、融資、内装工事、設備の手配などが一気に進みます。
準備が遅れると、営業を始められないまま家賃だけが発生し、運転資金が減ってしまうこともあります。
だからこそ、物件が決まる前にできる準備は、できるだけ進めておくことが大切だと思います。

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