薬剤師が合わなかった私がカフェを開業するまで|会社員・派遣を経て独立した話


私は現在、ワンオペの個人カフェを経営しています。

でも、昔からカフェを開くことが夢だったわけではありません。

そもそも個人カフェに通うような人間でもありませんでした。外食自体もそれほど多くなく、自分が起業するとも思っていませんでした。

人見知りで、声もあまり出ないタイプ。積極的な性格でもありません。

今振り返ると、「やりたいこと」を探してきたというより、「やりたくないこと」が昔からはっきりしていて、それを一つずつ減らしていった結果、今の働き方にたどり着いたのだと思います。

この記事では、薬剤師が合わなかった私が、会社員、派遣薬剤師を経て個人カフェを開業するまでを書いてみます。


薬剤師になりたかったわけではない

私は、最初から薬剤師になりたかったわけではありません。

当時は結婚願望もなく、一人でも生活していける仕事に就きたいとは思っていました。

そんなとき、親から薬剤師という仕事を勧められました。

母からは、製薬会社で働きながら経済的に自立している友人の話も聞いていました。

資格があれば生活に困りにくく、収入も比較的安定している仕事です。

正直なところ、当時は働くこと自体にあまり興味がありませんでした。

「将来この仕事がしたい」という目標もなく、親に勧められるまま受験し、そのまま薬学部へ進学しました。

仕事について積極的に調べることもほとんどなく、「とりあえず大学へ行く」という感覚だったと思います。


入学してすぐ違和感があった

薬学部へ入学して間もなく、「何か違うな」と感じるようになりました。

周りの学生との考え方にも、どこか違和感がありました。

そんな中、周りの学生と話していると、興味があった製薬会社の研究職は、自分が通っている学部とは進路が違うことを知りました。

「じゃあ退学して別の道に進もうかな」と親に相談しましたが、それは反対されました。

結局、最短で卒業するしかありませんでした。

勉強そのものは嫌いではなかったので、留年することなく卒業できましたが、この頃から「薬剤師は自分には合わないかもしれない」と思うようになっていました。

その後の病院と薬局の実習でも、その気持ちは変わりませんでした。

薬剤師の仕事は、人に説明したり、話を聞いたりしながら健康を支えることが中心です。

一方で、私は昔から人と関わることより、何かを作ることの方に興味がありました。

実習を重ねても、「やっぱりこの仕事がやりたい」と思えるようにはならず、卒業後は薬剤師ではなく、別の道を選ぼうと考えるようになりました。


最初は化粧品会社へ就職した

最初に入社したのは化粧品会社でした。

希望していたのは研究開発職です。

何かを作る仕事に興味があったからです。

しかし、希望していた部署には配属されませんでした。

会社の労働環境も、私にとっては長く働き続けたいと思えるものではありませんでした。

当時は会社の社宅に住んでいて、入居できるのは3年間という決まりがありました。

このまま会社に残れば引っ越しが必要になります。

どうせ引っ越しをするなら、この会社に残るより、一度薬剤師資格を使って働いてみようと思いました。

そんな理由で、薬剤師として転職することを決めました。


資格を使ってドラッグストアへ転職した

薬剤師資格を使い、ドラッグストアへ転職しました。

配属されたのは専門調剤の店舗で、実際の仕事は薬局そのものでした。

薬剤師として働くのは初めてでしたが、研修を受けながら少しずつ仕事を覚え、患者さんへの説明や対応も含めて日々の業務に取り組んでいました。

毎日とても忙しく、職場は常に慌ただしい雰囲気でした。

上司や先輩との関係も、私にはあまり合いませんでした。

その環境で毎日働くことが憂うつでした。

仕事にも最後まで興味を持つことはできず、「この仕事を続けたい」と思えたことは一度もありませんでした。

それでも、この会社は転勤が多いと聞いていたので、「そのうち環境が変われば、自分も働きやすくなるかもしれない」と思っていました。

ところが、実際には約3年間同じ店舗で働くことになります。

同じ場所で、同じ人たちと働き続ける毎日は、少しずつ息苦しくなっていきました。

浜松への転勤が転機になった

約3年間同じ店舗で働いた後、突然浜松への転勤が決まりました。

環境が変われば、自分も少しは働きやすくなるかもしれない。

そんな期待もありました。

しかし、実際は違いました。

土地も、職場の雰囲気も、自分には合いませんでした。

細かい出来事はいろいろありましたが、決定打になったのは上司との面談です。

それまで積み重なっていたものもあり、「もう会社員はいいや」と思いました。

面談が終わったその日に、カフェ開業スクールの資料を取り寄せました。

このまま別の会社へ転職しても、また同じことを繰り返す気がしました。

それなら、自分で働く場所を作ろうと思ったのです。


カフェ開業スクールへ通うことにした

開業すると決めたものの、何から始めればいいのか全く分かりませんでした。

そこで、カフェ開業スクールへ通うことにしました。

実際に開業した人から学んだ方が早いと思ったからです。

会社を辞めたあと関東へ戻り、スクールへ通いやすい場所に住みました。

スクールでは開業までの流れや創業計画書の作り方、バリスタの技術などを学びました。

不動産会社を紹介してもらえたことも、その後の物件探しで役立ちました。

開業準備の流れについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

カフェ開業までの流れ|飲食未経験から個人店を開くまでにやったこと


派遣薬剤師として開業準備を始めた

スクールへ通いながら、派遣薬剤師として働き始めました。

生活費を確保しながら、開業資金を貯めるためです。

薬剤師という仕事は自分には合いませんでしたが、資格があったおかげで収入を確保しながら開業準備を進めることができました。

資格を取ったこと自体は、本当に良かったと思っています。


派遣会社を乗り換えた

派遣薬剤師として働き始めてしばらくすると、別の派遣会社から来ている薬剤師と一緒に働く職場がありました。

仕事内容は全く同じなのに、その人の方が時給がかなり高いことを知りました。

派遣会社によって条件が大きく違うことを、そのとき初めて知りました。

そこで、その人が登録していた派遣会社へ乗り換えました。

情報を知らないだけで損をすることもあるんだな、と実感した出来事でした。


自分で職場を選べる働き方は合っていた

派遣先からは毎回更新の希望をいただいていました。

ただ、私は基本的に更新せず、自分の意思で勤務先を変えていました。

一度だけ夏場で薬剤師の求人が少ない時期があり、そのときだけ更新したことがあります。

それ以外は、およそ2か月ごとに職場を変えていました。

人手不足の業界だったので、次の勤務先を紹介してもらうことにはほとんど困りませんでした。

この働き方は、正社員の頃よりずっと自分に合っていました。

同じ人たちと何年も働くより、定期的に環境が変わる方が気持ちを切り替えやすかったからです。

そこで初めて、「人付き合いが苦手」というより、同じ環境で長く働き続けることが自分には合っていなかったんだと気づきました。


物件探しと並行してカフェでも働いた

物件探しを始めた頃、スクールで「1000万円の創業融資を希望するなら、飲食経験があった方が有利」と言われました。

そこで、約半年間カフェでもアルバイトを始めました。

派遣薬剤師として働きながら、スクールへ通い、カフェでアルバイトもしながら開業準備を進めていました。

今振り返ると、この時期が一番忙しかったと思います。

物件探しや創業融資については、それぞれ別の記事で詳しく紹介しています。

カフェの物件を探して20件近く内見した話

飲食未経験でも日本政策金融公庫で1000万円の創業融資を受けた話


やりたくない働き方を減らした結果だった

当時は、強くやりたい仕事があったわけではありません。

一方で、やりたくない働き方は昔からはっきりしていました。

同じ人たちと何年も働き続けること。

人との調整が多い働き方。

自分で決められない働き方。

そういう環境は、自分には合いませんでした。

昔からカフェが夢だったわけではありません。

働き方を見直していく中で、当時の自分に一番合っていると思えたのが個人カフェでした。


まとめ

学生の頃は、正直働くこと自体にあまり興味がありませんでした。

親に勧められるまま薬学部へ進み、卒業後は何かを作る仕事がしたくて化粧品メーカーへ就職しました。

その後、化粧品メーカー、常勤薬剤師、派遣薬剤師という働き方を経験する中で、自分がどんな環境なら続けられるのかが少しずつ分かってきました。

薬剤師資格があったからこそ、派遣で働きながら開業準備を進めることもできました。

カフェは昔からの夢だったわけではありません。

働き方を見直していく中で、当時の自分に一番合っていると思えたのが個人カフェでした。

現在は、一人でカフェを営業しています。

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