新卒で入社したのは化粧品メーカーの品質管理でした。
今振り返ると、入社した時点で長く働くつもりはあまりなかったのかもしれません。
本当は研究開発の仕事がしたかったからです。
研究開発を目指して入社した
研究開発部は基本的に院卒採用が中心です。
しかし私は6年制薬学部卒で、大学院には進学していませんでした。
正直なところ、6年間大学に通った時点でかなり満足していましたし、ちょうど親が定年を迎える時期でもあったため、これ以上学生を続ける選択肢は考えていませんでした。
そこで考えたのが、まず品質管理として経験を積み、その後研究開発へ異動するか、経験者として転職するという方法です。
転職率の高い中小企業なら、異動のチャンスもあるかもしれないと思いました。
もちろん、その分働く環境が良い会社ではありません。
入社してすぐ、同期の一人が体調を崩して研修を休みました。
すると数日後、そのまま退職扱いになっていました。
「この会社はそういう会社なんだな」と思ったのを覚えています。
社長室には何かを投げたような穴が空いていましたし、会議は意見交換というより吊し上げの場でした。
仕事を楽しむというより、「今日は何事もなく終わってほしい」と思いながら過ごしていた気がします。
品質管理も思った仕事ではなかった
品質管理の仕事自体も、思っていたほど自分に合っていたわけではありませんでした。
試験をしたり、データをまとめたり、報告書を書くことは嫌いではありません。
ただ、品質管理は部署間の調整が多い仕事です。
試験で規格外の結果が出れば製造部門と話をしなければなりませんし、担当者と揉めることもあります。
私は昔から、人と交渉したり調整したりすることがあまり得意ではありません。
仕事そのものよりも、そうした人間関係や部署間のやり取りの方に疲れていたように思います。
本社異動でさらに合わないことが分かった
入社から1年ほど経った頃、本社勤務への異動が決まりました。
研究開発への異動ではなく、自分も周囲もあまり納得していない異動でした。
後から聞いた話では、社長が薬剤師資格を持つ社員を本社に置いておきたかったようです。
本社勤務になってからは、一日中デスクに座って事務作業をする毎日になりました。
この時初めて、自分は長時間座り続ける働き方がかなり苦手なのだと気付きました。
工場勤務の頃は、試験をしたり現場を見たりしながら動き回ることも多かったため、そこまで感じていなかったのです。
また、新しい上司は気分が乗らないと話しかけても無視するような人でした。
職場の雰囲気も合わず、非常に居心地の悪い毎日だったと思います。
結局3か月ほどで工場へ戻ることになりましたが、もし本社勤務が続いていたら半年も持たなかった気がします。
工場へ戻ったが、欲しかったものは手に入らなかった
工場へ戻った後、主任への昇進を打診されました。
中小企業だったこともあり、昇進は比較的早い会社でした。
ただ、私は昇進したかったわけではありません。
同じ部署は5人ほどしかおらず、自分より長く働いている先輩もいました。
そんな中で先に昇進するのは気が進みませんでしたし、何より私が欲しかったのは肩書きではなく研究開発部への異動でした。
何度か断りましたが受け入れてもらえず、結局主任になりました。
その後、社長から直接
「研究開発へ異動させる気はない」
と言われました。
その瞬間、研究開発への道は完全に閉ざされました。
会社から見れば昇進は評価だったのかもしれません。
ただ、自分にとっては欲しいものとは違いました。
3年で退職を決めた理由
そもそもこの会社を選んだ理由は研究開発部を目指すためでした。
だから、その可能性がなくなった時点で会社に残る理由もなくなってしまったのです。
とはいえ、すぐに辞めようとは思いませんでした。
品質管理部の上司とは仲が良くなっていましたし、後輩も育っていませんでした。
最低限の引き継ぎと後輩の教育を終え、新入社員向け社宅の利用期限でもある3年を区切りに退職することにしました。
退職希望者を無理に引き止めないことは、この会社の数少ない良いところだったと思います。
今振り返って思うこと
結果的に研究開発の仕事に就くことはできませんでした。
当時は残念でしたが、今となってはそれで良かったのかもしれません。
もし希望通り研究開発部へ異動し、そのまま転職できていたら、今も化粧品業界で働いていた可能性が高いと思います。
そう考えると、その後薬剤師になり、派遣薬剤師になり、最終的にカフェを開業することもなかったでしょう。
この会社に戻りたいとは思いません。
それでも、人間関係や仕事の進め方、社会人としての振る舞いなど、この後の転職先でも役立つことはたくさんありました。
仲の良い先輩や同僚もいましたし、自分では行かなかったような場所へ連れて行ってもらったこともあります。
人生は思った通りには進みませんが、その時々でできる選択をした結果が今なのだと思っています。

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